【2026年4月完全導入】EESとは?ヨーロッパ旅行の新しい入国システムを完全解説

はじめに

2026年4月10日より、ヨーロッパの多くの国でEES(Entry/Exit System/出入域システム)という新しい国境管理システムが本格的に運用開始されました。これまでパスポートにスタンプを押していた仕組みが、顔写真・指紋などを使ったデジタル記録に変わります。

しかし、EES導入後に初めてヨーロッパに渡航予定の方の中には

  • 「そもそもEESって何?」
  • 「ヨーロッパのどの国が対象?」
  • 「事前に手続きは必要?」
  • 「よく聞くETIASとの違いがよくわからない・・・」

など疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?

この記事では、EU公式サイト「Travel Europe – EES」や各国大使館の公開情報をもとに、EESの基本情報・対象国・国境での流れ・便利な使い方・注意点を、日本人旅行者向けにわかりやすくまとめました。また、2026年6月後半にベルギー(ブリュッセル)へ実際に入国した体験談もあわせてご紹介します。ヨーロッパ旅行の準備にぜひお役立てください。

目次

EES(出入域システム)とは?ヨーロッパの新しい国境管理システム

EES(Entry/Exit System・出入域システム)は、ヨーロッパの国境を通過するEU域外の国籍を持つ短期滞在者を、電子的に自動記録するEUの新しい国境管理システムです。従来のようにパスポートにスタンプを押すやり方から、顔写真や指紋などの生体情報と出入国履歴をデジタル保存する仕組みへ移行します。

EES導入の目的
  • 国境審査の近代化・効率化:紙のスタンプから電子記録へ切り替え、手続きのミスや時間のロスを減らす
  • 旅行者の待ち時間の短縮:セルフ端末や自動ゲートを活用し、2回目以降の出入国をスムーズにする
  • 不法滞在や偽造文書の防止:滞在可能日数をデジタルで管理し、ルール違反を見つけやすくする
  • シェンゲン圏全体の安全性向上:テロ対策や国境警備の強化につなげる

EESは「国境での出入域記録」をデジタル化する仕組みです。オンラインで事前申請する「ETIAS(エティアス)」とは役割が違うので、混同しないようにしておきましょう(後半でくわしく解説します)。

  • 正式名称:EES(Entry/Exit System・出入域システム)
  • 運営:欧州連合(EU)
  • 運用開始:2025年10月12日〜(完全導入:2026年4月10日〜)
  • 対象者:EES導入国へ短期滞在するEU域外の国籍を持つ旅行者(日本人も含む)
  • 手続き場所:国境(空港・港・陸路の検問所)
  • 事前申請:不要(国境到着時に係官が対応)
  • 公式サイト:https://travel-europe.europa.eu/ja/ees

EESの対象国|ヨーロッパ29か国の一覧(アイルランド・キプロスは対象外)

EESが導入されるのは、シェンゲン協定に準拠した以下の29か国です。ヨーロッパ旅行を計画している場合、訪問先がこの29か国に含まれているかどうかを確認しておきましょう。

EES導入国(29か国)

アイスランド/イタリア/エストニア/オーストリア/オランダ/ギリシャ/クロアチア/スイス/スウェーデン/スペイン/スロバキア/スロベニア/チェコ/デンマーク/ドイツ/ノルウェー/ハンガリー/フィンランド/フランス/ブルガリア/ベルギー/ポーランド/ポルトガル/マルタ/ラトビア/リトアニア/リヒテンシュタイン/ルクセンブルク/ルーマニア

アイルランドとキプロスはEU加盟国ですが、EESの対象外です。これらの国を訪問する際は、従来通りパスポートにスタンプが押される運用となります。ヨーロッパ旅行でアイルランドやキプロスを含むルートを計画している場合は、入国手続きが国によって異なる点に注意しましょう。

EESの対象者|日本人旅行者も含まれます

EESの対象となるのは、EES導入国へ短期滞在(180日間で最大90日まで)を目的に渡航する、EU域外の国籍を持つ旅行者です。日本国籍の旅行者ももちろん含まれます。短期滞在ビザの有無は問いません。

EESの対象外(免除)となる主なケース
  • EES導入国の在留カード(居住許可)を持っている人
  • EU市民の親族でEU法上の移動の自由を有する人
  • 外交パスポート保持者など特定のカテゴリーに該当する人
  • 長期ビザ保持者

EESの利用方法|国境での手続きの流れ

EESは旅行者が自分で何かを申請するシステムではなく、国境(空港・港・陸路)に到着した際に係官が手続きを行う仕組みです。ただし、セルフサービス端末(キオスク)や自動ゲートが設置されている国境では、旅行者自身が操作して手続きを進めることもあります。

STEP
初回の入域時:生体情報の登録

EES導入後、はじめてヨーロッパ29か国のいずれかに入域する際は、以下の情報が電子ファイル(デジタルファイル)に登録されます。

  • 氏名・生年月日・国籍などパスポート記載情報
  • パスポートの番号・種類
  • 入域の日時と場所
  • 顔写真の撮影
  • 指紋スキャン(ビザ保有者でVIS=ビザ情報システムに指紋登録済みの場合は顔写真のみ)

パスポートへのスタンプは押されなくなります。また、指紋や顔写真の提供を拒否した場合は入国できません。

STEP
2回目以降の入域時:照合のみでスムーズに

一度生体情報が登録されると、2回目以降の入域時は顔と指紋の照合のみで手続きが完了します。初回よりも所要時間が短くなるため、リピーターの方ほどメリットを感じやすい仕組みです。なお、まれにデータの再収集が必要になる場合もあります。

STEP
セルフサービス端末・自動ゲートの活用

一部の国境検問所にはセルフサービス端末(キオスク)自動ゲートが設置されており、旅行者自身が操作して手続きを進めることができます。生体認証パスポートを持っている場合、自動ゲートを利用することで係官と対面せずに通過できるケースもあります。

EES導入の初期段階では、国境通過に通常より時間がかかる可能性があります。ヨーロッパへ渡航する際は、時間に余裕を持って空港へ向かうことをおすすめします。

【実体験レポート】2026年6月・ベルギー入国時のリアルな状況

ここで、2026年6月後半にイギリス(ロンドン)からベルギー(ブリュッセル)へ飛行機で渡航した際の実際の様子をご紹介します。EES完全導入後の現地の雰囲気として、ぜひ参考にしてください。

体験レポートの概要
  • 渡航時期:2026年6月後半
  • 出発地:イギリス(ロンドン)
  • 入国先:ベルギー(ブリュッセル)
  • 移動手段:飛行機
  • 入国にかかった時間:空港到着後、約1時間

実際には顔写真・指紋の撮影はなかった

EES完全導入後の初めてのヨーロッパ入国だったため、顔写真や指紋を撮られる想定で少し緊張していました。しかし実際には、顔写真・指紋のいずれも撮影・スキャンされることはありませんでした。審査官にパスポートを提示し、滞在目的や期間など簡単な確認を経て入国した、という流れです。

また、以前シェンゲン圏へ入国した際には押されていたパスポートへのスタンプも今回はありませんでした。EESの仕様通り、スタンプがデジタル記録に切り替わっているのだと思います。

国や空港によって運用にばらつきがある可能性

今回の体験では公式案内と異なる対応でしたが、これはEES導入初期の段階で、国や空港、担当する審査官によって運用にばらつきがある可能性を示していると考えられます。

  • システムの段階的導入による設備の違い
  • 審査官の判断による手続きの省略
  • すでに他の国境で登録済みとみなされた可能性

いずれにしても、現地の入国審査官の指示に従ってパスポートを提示し、手続きを進めれば問題なく入国できると思います。想定と違う対応であっても焦らず、時間に余裕を持って行動することが大切です。

体験から感じた注意点まとめ
  • 顔写真・指紋の撮影がない場合もある(国・空港・審査官によってばらつきの可能性あり)
  • パスポートへのスタンプはなくなっている(EESの仕様通り)
  • 入国にかかる時間は状況次第。余裕を持ったスケジュールが安心
  • 入国審査官の指示に従って手続きを進めれば問題なし

「Travel to Europe」アプリで事前登録も可能(対応国は限定的)

EU公式の「Travel to Europe」アプリを使うと、一部のデータを事前に登録しておくことができます。国境到着前にあらかじめ情報を入力しておくことで、現地での手続きをよりスムーズに進められる可能性があります。

ただし、現時点でアプリに対応している国はスウェーデンとポルトガルのみと、かなり限定的です。フランスやドイツ、スペインなどの主要な観光地はまだ対応していないため、多くの旅行者にとっては国境での手続きが中心になります。今後、対応国が拡大される予定ですので、渡航前に最新情報をEU公式サイトでご確認ください。

  • アプリ名:Travel to Europe
  • 提供:欧州連合(EU)
  • 現在の対応国:スウェーデン・ポルトガル
  • できること:一部データの事前登録(国境での手続きの補助)
  • 注意点:アプリで事前登録しても、国境での生体情報の取得(顔写真・指紋)は省略できません

EESとETIASの違い|混同しやすいので要注意

EESと混同されやすいのがETIAS(欧州渡航情報認証システム)です。どちらもヨーロッパへの渡航に関わる制度ですが、性格や手続きの場所・タイミングが大きく異なります。

項目EESETIAS
性格国境での出入域記録システム渡航前の事前認証(米国のESTAに類似)
手続き場所国境(空港・港・陸路)で実施出発前にオンライン申請
運用開始2026年4月10日〜2026年10月〜12月予定
費用無料有料(申請料あり)
事前申請不要必要

簡単にまとめると、EESは「現地で記録される仕組み」、ETIASは「出発前に申請する仕組み」です。両者は補完関係にあり、ETIASが開始される2026年10月〜12月以降は、EES導入国へ渡航する際に両方の手続きが必要になる予定です。

ETIASについては、EESとあわせて理解しておくと旅行準備がかなりスムーズです。申請のタイミングや必要な人、費用の考え方を先に確認しておきたい方は、関連記事もあわせてご覧ください。

EESに関するよくある質問(FAQ)

EESの利用に関してよく寄せられる疑問をQ&A形式でまとめました。ヨーロッパ旅行の出発前にぜひご確認ください。

EESのために事前に何か申請する必要はありますか?

いいえ、EESは旅行者が事前に申請するシステムではありません。国境(空港・港・陸路)に到着した際に、係官またはセルフサービス端末が手続きを行います。特別な書類の準備は不要ですが、有効なパスポートを持参してください。

日本人もEESの対象になりますか?

はい、日本国籍の旅行者もEESの対象です。EES導入国(29か国)へ短期滞在を目的に渡航する場合、国境で顔写真や指紋などの生体情報が登録されます。

アイルランドやキプロスへ行く場合もEESは必要ですか?

いいえ、アイルランドとキプロスはEU加盟国ですが、EESの対象外です。これらの国を訪問する際は、従来通りパスポートにスタンプが押される運用となります。

指紋や顔写真の提供を断ることはできますか?

いいえ、指紋や顔写真の提供を拒否した場合は入国できません。EESはEUが定めた法律に基づくシステムであるため、対象者は生体情報の提供が求められます。

登録された個人情報はどのように管理されますか?

EESに登録されたデータは、EU一般データ保護規則(GDPR)等に準拠して厳重に管理されます。アクセス権限を持つ限られた職員のみが閲覧可能で、原則として第三者への提供は行われません。詳しくはEU公式サイトでご確認ください。

2回目以降のヨーロッパ渡航は手続きが楽になりますか?

はい、2回目以降の入域時は生体情報が既に登録済みのため、顔と指紋の照合のみで手続きが完了します。初回と比べて所要時間が短くなるため、ヨーロッパをリピートする旅行者ほどメリットを感じやすくなります。

EESとETIASは何が違うのですか?

EESは国境到着時に出入域を記録する仕組みで、旅行者の事前申請は不要です。一方、ETIASは渡航前にオンラインで申請する事前認証システムで、米国のESTAに似た制度です。ETIASは2026年10月〜12月に開始予定で、有料(申請料あり)となっています。

「Travel to Europe」アプリで事前登録すれば国境での手続きは省略できますか?

いいえ、アプリで事前登録しても、国境での生体情報の取得(顔写真・指紋)は省略できません。アプリはあくまで一部データの事前入力を補助するものです。また、現時点でアプリに対応している国はスウェーデンとポルトガルのみと限定的ですので、最新情報はEU公式サイトでご確認ください。

まとめ

この記事では、2026年4月10日から本格的に運用が開始された「EES(出入域システム)」の概要・対象国・国境での手続きの流れ・事前登録アプリ・ETIASとの違いについてご紹介しました。

EESは旅行者が特別な申請をする必要はありませんが、初回の入域時は顔写真や指紋の登録があるため、通常より時間がかかる可能性があります。また、筆者の実体験のように国や空港によって対応が異なるケースもあるため、ヨーロッパへ渡航する際は時間に余裕を持って空港へ向かうようにしましょう。最新情報はEU公式サイト(Travel to Europe)で随時確認することをおすすめします。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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