アメリカへの旅行の際、心配事の一つとなるのが入国審査の待ち時間ではないでしょうか。到着便が重なると長い列ができ、空港を出るまでに予想以上の時間がかかってしまうことも少なくありません。
そんなアメリカでの入国審査の時間を短縮し、手続きをスムーズにするためのサービスとして「MPC (Mobile Passport Control)」というものがあります。
とはいえ、
- 「そもそもMPCって何?」
- 「MPCを利用するための条件はある?」
- 「利用の流れを事前に把握しておきたい」
上記のような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか?
この記事では、米国CBP公式サイトの情報に基づき、MPCの概要やメリット、対象者、具体的な使い方について詳しく解説します。これからアメリカへのご旅行を予定されている方は、ぜひ参考にしてください。
MPC(モバイル・パスポート・コントロール)とは?
MPC(Mobile Passport Control)は、米国税関・国境警備局(CBP)が提供する公式のスマートフォンアプリです。旅行者が、パスポート情報や税関申告に関する質問への回答をアプリ上で事前に提出できるサービスとして展開されています。
通常の入国手続きでは、紙の申告書への記入や、空港に設置された自動入国審査端末(APC)の操作が必要となりますが、MPCを利用すればこれらのプロセスをご自身のモバイル端末で完結できます。その結果、入国審査場での待ち時間を短縮し、より効率的に手続きを進めることが期待できます。
このアプリは米国政府が提供する公式ツールであり、無料でダウンロードが可能です。利用に際しての手数料も一切かかりません。また、個人情報の保護についても厳格に配慮されており、CBPへの情報送信は安全な経路で行われます。
MPCを利用するメリット
米国税関・国境警備局(CBP)がMPCの導入を推進している背景には、旅行者の利便性向上と入国プロセスの効率化があります。具体的にどのようなメリットがあるのか、主なポイントを詳しく解説します。
入国審査の待ち時間を短縮できる
最大のメリットは、入国審査場においてMPC専用レーンを利用できる点にあります。一般の列に並ぶ必要がなく、よりスムーズに審査官の元へ進めるため、空港での滞在時間を大幅に短縮できる可能性が高まります。特に混雑する時間帯に到着する場合、その恩恵を強く感じられるでしょう。
税関申告のペーパーレス化
MPCアプリを利用して申請すると、紙の税関申告書への記入が不要になります。スマートフォン上で質問に回答するだけで済むため、筆記用具を取り出す手間や、慣れない書類への記入ミスを心配する必要がありません。デジタル化により、正確かつ迅速に情報を提出できる仕組みとなっています。
家族や友人グループでまとめて申請できる
MPCは1つの端末で最大12名までまとめて申請が可能です。お子様を連れた保護者の方や、離れずにグループで一緒に入国審査を受けたい方にとって、非常に利便性の高い機能です。代表者が一括して情報を送信できるため、手続きが非常にシンプルになります。
MPCの対象者(日本人は使える?)
以下のいずれかの条件に当てはまる場合にMPCを利用できます。
- 米国市民
- 合法的永住権保持者(LPR / グリーンカード保持者)
- カナダのB1/B2ビザ保持者
- 「Visa Waiver Program(ESTA)」を利用して再入国する旅行者
日本人の一般的な旅行者の場合、4番目の「Visa Waiver Program」に該当するケースが多いでしょう。ここで重要な点は、公式サイトに記載されている「Returning(再入国・リピーター)」という条件です。
過去にESTAを利用してアメリカに入国したことがある方が対象となります。初めてESTAで渡米される方は対象外となる場合があるため、ご自身の渡航歴をご確認ください。
MPCが利用できる空港
MPCは、アメリカ国内の主要な国際空港および一部の港で導入されています。ハワイを含む日本からの直行便が到着する多くの空港で利用可能です。
- ホノルル(HNL)
- ロサンゼルス(LAX)
- サンフランシスコ(SFO)
- ジョン・F・ケネディ(JFK)
- ニューアーク(EWR)
- シカゴ・オヘア(ORD)
- シアトル(SEA)
- アトランタ(ATL)
- ダラス・フォートワース(DFW)
2025年12月現在、合計35の米国の国際空港と、4つの海港、さらに一部の事前審査地(Preclearance locations)で利用可能とされています。渡航前にご自身が利用する空港が対象になっているか、アプリや公式サイトで確認することをおすすめします。
MPC利用の流れと使い方
このセクションでは、MPCを利用するための大まかな流れ(3つのステップ)を解説します。出発前から到着後まで、タイミングに合わせた操作が必要です。
ステップ1:米国行きの便に乗る前
まずは、App StoreまたはGoogle Playストアから「MPCアプリ」を無料でダウンロードします。アプリを起動したら、パスポートをスキャンしてプロフィールを作成しましょう。入力した情報はアプリ内に保存されるため、次回以降の旅行でもスムーズに再利用できます。この準備は、時間に余裕のある出発前に行っておくのがスムーズです。
ステップ2:着陸の4時間前から着陸直後まで
アメリカの空港に到着する4時間前から、あるいは着陸した直後のタイミングで、アプリから自撮り写真(セルフィー)を撮影し、到着便や税関申告に関する質問に回答します。この情報は送信後4時間有効です。事前にこれらの詳細をアプリで送信しておくことで、入国審査官とのやり取りをスピードアップさせることができます。
日本からアメリカへ渡航する場合は、基本的に4時間以上のフライトになるため、到着直後に回答を送信しましょう。
ステップ3:入国審査場(カスタムエリア)にて
入国審査場に到着したら、パスポートを用意し、標識に従って「MPC専用レーン」に進みます。MPCを利用することで審査官がより効率的に手続きを行えるようになるため、一般の列よりも待ち時間を短縮できる可能性が高まります。最後に審査官による確認を経て、入国手続きが完了となります。
ちなみに、グループで申請をしている場合は一緒に入国審査を受けることができます。
グローバルエントリー(Global Entry)との違い
アメリカの入国審査を効率化する手段として「グローバルエントリー」も有名ですが、MPCとはその仕組みや利用条件が大きく異なります。どちらもスマートフォンアプリを利用できる点は共通していますが、主な違いを詳しく見ていきましょう。
費用と登録方法の違い
グローバルエントリーは有料の会員制プログラムであり、事前のオンライン申請に加えて、対面での面接や厳格なバックグラウンドチェック(背景調査)が必要です。承認までに一定の期間を要します。一方、MPCは完全に無料で利用でき、事前の承認や面接も不要です。アプリをダウンロードしてプロフィールを登録するだけで、その日のうちから利用を開始できる手軽さがあります。
対象者の範囲と性質
グローバルエントリーは、あらかじめ審査を通過した「信頼できる旅行者(Trusted Traveler)」向けの専用プログラムです。それに対し、MPCは米国市民や特定のビザ保持者、そしてESTAを利用して再入国する旅行者など、条件を満たせばより幅広い層が利用できるシステムとなっています。事前の厳しい審査がない分、誰でも導入しやすいのがMPCの特徴です。
利用方法と専用レーンの違い
現在、どちらのプログラムも専用のスマートフォンアプリを使用して入国手続きを進めることが可能です。どちらも一般の列より優先される専用レーンに進めますが、MPC利用者とグローバルエントリー会員では進むべきレーンが異なるため、空港内の標識をよく確認しましょう。
MPCとグローバルエントリーの比較一覧表
| 比較項目 | MPC (Mobile Passport Control) | グローバルエントリー |
|---|---|---|
| 費用 | 無料 | 有料(120ドル) |
| 事前の面接・審査 | 不要 | 必要 |
| 準備期間 | 即日(アプリ登録のみ) | 数週間〜数ヶ月 |
| アプリの利用 | 利用可能(MPCアプリ) | 利用可能(Global Entryアプリ) |
| 主な対象者 | 米国市民・ESTA再入国者など | 事前承認を受けた会員 |
頻繁にアメリカへ渡航される方であれば、グローバルエントリーのメリットは大きいですが、一般的な旅行や出張であれば、コストをかけず手軽に導入できるMPCが有力な選択肢となるでしょう。
まとめ
この記事では、ハワイを含むアメリカへの渡航に便利な「MPC (Mobile Passport Control)」について、特徴やメリット・対象者・利用の大まかな流れをご紹介しました。
MPCを利用することで、空港に到着してから入国するまでの時間を削減できる可能性が高まります。
ぜひ、MPCを使ってスムーズに入国していただき、その後の観光を楽しんでいただければ幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました!

